イギリス留学 at KCL

英国キングスカレッジロンドンの戦争学部修士課程に在籍する予定の者です。

第二外国語を勉強すべきか英語だけに集中すべきか

英語以外にもう一つ外国語を学ぶべきか話したいと思います。

まだ将来の具体的なプランの無い学部生の方が真剣に第二外国語を学ぶべきか、それとも英語だけに集中して勉強すべきかについて書きたいと思います。

将来役に立つか、投資する時間に見合った利点があるのかという点から考えます。楽しいから第二外国語を学ぶ人や、その国の文化が好きだから勉強する等の趣味としての語学学習はここでは論じません。

まず自分の結論を。

「英語の勉強が辛いのでそれから逃げる目的で何か違う外国語を学ぶのはお勧めしません。英語がある程度のレベルに達してから、もしくはある程度までこれから到達する強い意思がある場合のみ、余裕があれば英語学習に加えてもう一つの第二外国語に取り組むべき。」

以下にそう考える理由を列挙していきます。



―英語から逃げないで

英語が出来ないので何か他の言語に手を出す場合、これはその言語も失敗する可能性が高いと思っています。もちろん英語よりも習得が簡単な言語は存在すると思います。ちょっと調べたところ、55言語を教えている語学学校のDILAというところが独自に日本人にとっての各言語の習得難易度を調査したものがありました。以下はコピペ。

グループ1
易しい

韓国語、インドネシア語スワヒリ語

グループ2
比較的易しい

トルコ語スペイン語、中国語、ベトナム語

グループ3
比較的難しい

英語、フランス語、ドイツ語、タイ語ギリシャ

グループ4
難しい

ロシア語、ポーランド語、ヒンディー語アラビア語



英語ってなんて難しいんだと思っている方は大量に存在すると思います。僕自身留学中に他の欧米言語の母国語話者が僕の2-3倍のスピードで英語を上達させていく様をみてなんて不公平なんだと思ったことが何度もあります。やはり英語は私たち日本人にとって難しい部類の言語なのだと思います。悲しいですが。

しかし、どの言語もある以上のレベルまで上達する為には面倒でつまらない作業をこなす必要が出てきます。何千単語もひたすら記憶したり、文法事項を暗記したり(英語の文法はとても簡単な部類に入ります。)、日本語にない発音を毎日鏡の前で練習したり、活用を覚えたりといった地味な作業は言語習得に不可欠です。このような英語習得の際にぶつかる壁というのは他の言語を習得する際にもほとんどの確率でぶつかります。

英語が出来ないから他の言語に手を出すというのは、上記のような作業が嫌いだと言うこと、つまりそもそも言語習得が向いていない可能性があります。いずれにしても挫折する可能性が高いと思っています。



―かなり高いレベルまで到達しなければ語学は役に立たない。

これには自動翻訳の発達が関係してくると思っています。現時点でも英語以外の欧米言語の記事を読みたいと思ったら、自動翻訳で日本語に訳しても大分不自然でない訳で読めます。言語的に近い英語に訳すとさらに自然な。訳になります。DeepLという自動翻訳を使った事があるでしょうか?この日英、英日の翻訳がかなりレベルが高いです。グーグル翻訳を遥かに凌駕しています。

現時点でもニューヨークタイムズなどの記事をこのソフトで自動翻訳すればかなりの精度で情報収集が出来ます。韓国語の記事も自動翻訳で日本語にすればとても快適に記事が読めると聞いたこともあります。

しかし自動翻訳だと細かいニュアンスなどが反映されない、などの問題があります。

一つの言語を深く学ぶことでその文化的背景やその言語の話者の世界観やその国の歴史などを学び、その結果深く正確な理解が可能になると思います。ここまでは自動翻訳では不可能だと思います。

問題は、上に書いたような事を出来るようになるにはかなりのレベルの語学力が要求されるという事です。細かいニュアンスや行間を読む、文脈や背景を考慮する、発言者の意図をくみ取る、等といった事が出来るまではとてつもない勉強や訓練が必要になります。逆に、そこまでの語学力が無く誤訳を頻発する場合には自動翻訳に精度、速度の両方で完敗してしまいます。自動翻訳が発達すればするほどそれを上回る為に要求されるレベルは上がります。

という事で、対人コミュニケーションを伴わない受動的な場面、例えばリーディングやテレビのニュース視聴時などで自動翻訳では不可能な事を可能にするレベルの語学力はとてつもなく高いです。それは多分TOEIC満点よりはるか先にあるのだと思います。英語をそのレベルまで上げた後にさらにもう一つの外国語をそこまで修めるのはかなり至難の業です。例えば英語とフランス語にどちらも均等に1000時間割り当てるよりは、英語だけに集中して勉強した方が仕事で使える英語力を身に着ける事が出来ると思います。

マニアックな例で申し訳ないのですが、某有名野球ゲーム実況パワフルプロ野球で投手作成時に、そんなに変化量の無い変化球を二つ、三つ覚えてもどれも使い物になりません。それよりも一つの変化球、例えばフォークに全振りした方が良い、といった感じです。このゲーム知らない方申し訳ありません。



―英語以外で将来のキャリアで役に立つ外国語が予想できない。

大学生の段階で自分が将来何をしたいか決まっている人の方が少数派だと思います。

この場合自分が将来活躍したい分野や地域が決まっていないので、英語以外のどの外国語が自分の役に立つのか判断できません。英語以外の言語はどうしても使われる地域が偏っているので習得に費やした莫大な時間が報われない可能性があります。対して英語の影響力は学術、ビジネス、インターネット、映画やドラマ等の分野で圧倒的ですので、どの分野に進もうと思っていても英語力があるとかなり有利だと思います。

英語を除いて将来どの言語が将来性があるか言われると、僕には分かりません。もちろん中国の勢いは物凄いので中国語の重要性は上がる一方だと思います。中国語の時代が来るというのは言われていますが、中国の時代はもう到来した気さえしますね。僕が日本に最後にいたのは2012年前後です。当時はまだ多くの日本人は心の中では日本の方が中国より上だ、自衛隊が東アジア最強だ、東アジアのリーダーは日本だなどと思っている人が多かった印象があります。現在もこの様な意見を持っている人は少数派になりつつあるのではないでしょうか?

しかし、中国語がこれから国際ビジネスでも使われたり、地球上の広い範囲で非ネイティブ同士が中国語で会話する未来は当分来ないと思われます。非漢字文化圏の人たちには漢字の習得が難し過ぎるからです。中国文化圏で仕事をしたい、日本で中国関連の仕事をしたい等と考える人を除いてはそこまで中国語の能力が必要とされないのではと考えています。

その他の欧米(+露)の諸言語もかつての支配地域で現在も影響力を保持しています。アラビア語も中東、北アフリカでとても役に立ちます。ただし、英語との違いはこれらの地域外ではあまり通用しないか、少し通じたとしても英語の方がはるかに通用するということだと思います。

その為、余程どこか一定の地域に興味があったり将来そこで働きたいと真剣に考える人や、開発業界などを志望していて第二外国語が強力な武器になるといった場合を除いて、英語より優先して他の言語を勉強する事を勧める事は僕には出来ません。それらの言語を使えることで利益を得る可能性より、英語が出来ないことで将来不利益を被る可可能性の方が高いと考えるからです。大学生の段階で興味のある地域があったとしても、将来変化する確率がかなり存在するとも考えています。



第二外国語を真剣に勉強していい、又は勉強すべき人とは?

☆大学生1,2年生で英語に真剣に取り組んでいる人、これから長期間英語を真剣に勉強する意思のある人、またはすでに高い英語力のある人。つまり、高い英語力を持っているうえでさらに高い。第二外国語力を身に着けられる人。

ただ、上記のような大学生は日本にどれ程いるのでしょうか?大学で早い段階ですでに英語に真剣にとりくみ、TOEICで800点などの高い英語力を身に着けている人は難関大学の学生のさらに一部に限定されると思います。


☆非英語圏に長期間留学予定の人

日本で日本人家庭で生まれ育った人が第二外国語を習得するのは、外国語大学でその言語を真剣に勉強するか、そうでなくても交換留学でその言葉が話されている地域に長期滞在するという場合が大半だと思います。よって交換留学が決まった人はその時点から語学の猛勉強を始める事を勧めます。国連公用語等の主要言語が話されている地域ならなおさらです。現地での生活の質も、言葉が話せるかどうかでかなり左右されます。


実は交換留学生は現地学生とつるまない傾向がみられ、交換留学生同士の交流は全て英語で行われるという場合がほとんどなのですが、自分から積極的に行動することで英語ではない現地語を使い現地学生と仲良くなることも可能です。


☆将来特定の国、地域で暮らしたい、働きたい、等の目標を強く持っている人

中央アジア、南米、ブラジルが好き等の場合はロシア語やスペイン語ポルトガル語を学ぶべきです。ただその場合においても、将来目標が変わった場合に備えて英語もしっかり勉強しておいた方がいいです。



―それでも出来れば第二外国語は出来れば勉強した方がいい。

ここまで英語の方が大事だ、英語に集中すべきだと言ってきましたが、もちろん僕は第二外国語が出来る事は本当に大きな武器になると考えています。他が全く同じ条件で中国語が出来るか出来ないかならば絶対に中国語が出来た方が良いです。

人と直接外国語を使って話す必要がある場合には絶対にニンゲンが言語を習得している必要があると思います。機械での自動翻訳を介したコミュニケーションは、機械を介さず同じ言語を使ったコミュニケーションに絶対に勝てません。テンポが遅くなるし、機械は話す本人の意図をくみ取れません。冗談や笑いは文化的背景に強く依存しているので他言語に変換されると通じないと思いますし、その場の流れやタイミング、話し方なども重要であるのでいちいち機械に話して機械的な音声で言われると機能しないと思います。

ドラえもんで言う「ホンヤクこんにゃく」の次元まで科学が進歩すれば対面コミュニケーションの場でさえも語学力が必要とされなくなると思いますが、そんな時代は当分やってこないのではないでしょうか?

第二外国語が一定以上のレベルで操れると特に対人コミュニケーションでその言語が話せない人より圧倒的な優位に立てます。「おはよう」、「ありがとう」、「すみません」などの初歩を知っているといった段階ではなく、実際に相手の言っている事を理解して自分の言いたいことを言うといった事が出来るような段階まで勉強していると、その言葉を話す人と距離を縮めやすくなります。

そのようなコミュニケーションが少しずつ可能になってくるレベルとは多分TOEICで言うと800点ほどからなのでしょうか?根拠は全くないのですが、、、

ここに到達するにはある程度の勉強と実践をこなせば十分だと思います。事前にしっかりと勉強した後に大学で一年間交換留学し、現地でも必死の努力を続ければ到達できないことは無いです。これは割に合った投資では無いでしょうか?

大学生でまとまった時間がある人には是非とも英語と第二外国語を両方とも勉強してほしいです。特に、第二外国語を習得する機会というのは大学生の時しかないのではないかと思います。社会人になって仕事の合間時間を使って第二外国語を学ぶのは至難の業です。時間が圧倒的に足りません。僕自身、今第二外国語を毎日必死に勉強しているのですが、学部時代に中国語を学ぶ機会があったにも関わらず面倒なので辞めてしまったことをとても後悔しています。

時間に余裕のある大学生の方はぜひ、英語ともう一つの第二外国語を勉強してみて下さい。そして交換留学の機会が将来あれば、その機会を活かすことを強く勧めます。話によると、ほとんどの場合アメリカやイギリスなどの英語圏が人気なようですが、非英語圏も真剣に検討してみて下さい。本来志望していた英語圏の大学への交換留学が叶わずにどこか非英語圏の国しか選べない場合も出来れば前向きにとらえて頂きたいです。その国の言語を習得する最良の機会を得たと捉えて下さい。個人的には、イギリスのような排他的な国では一年ぽっちしか滞在しない交換留学生が現地生と仲良くなるのは可能性が低いです。僕自身5年間毎年交換留学生を見てきましたが、現地生ととても仲良くなっている日本からの交換留学生を見た記憶がありません。

反対に、おおらかで明るいスペインやイタリアなどの国では交換留学生も楽しくやっているように感じます。飯も旨く気候も最高ですし。(ちなみにイギリスには、スペインやイタリア、フランス出身の女性は美人だというステレオタイプが存在します。)もし交換留学先を選ぶ際に現地での生活の質を基準をするならば僕は断然これらの国々を選びます。イギリスに来る日本からの交換留学生は多くの場合鬱気味ですので。